『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

じわりじわりと

背後に忍び寄る感覚に気がつかないわけでは無い。無味な言葉の羅列によって織り成されるこの空間は、高校の頃の視聴覚室のように、段々と斜めに下がっていて、上に登れば登る程教壇の上の講師からは遠ざかる形となっている。もちろん教師などはいない。 そ…

数値化

数値化して考えるとは、なんなのだろうか。何を持ってして私は数値になるのか。カロリーカロリー、ワークタイム、ライフハック。 蒸した気温の不快さが、汗となって表現されてシャツに染み込んで行く。しばらく心地よい汗をかいていなかった。あらゆる意味…

霞んで消える

夢を全く見ない時期がある。そうなると僕の物語は枯渇し、どんなに蛇口を捻ったところで断水の日に水は飲めない様に、何も前に進まなくなることがよくある。 どちらかと言えば、普段は夢の記憶を鮮明に残していない方だ。夢を見たのではないか、という感触…

果てしなく

果てしなく不毛ではあるものの、これを求めていたと言えば、そうかもしれない。滅私奉公。

朝起きると

筋肉痛が二の腕を伝わり、腹の奥底に音となって響き、今日はこのまま横になっていたいと告げる。無価値に電車に揺られるよりもなお、ここに居続けろと叫んでいる様でもある。私はその声を振り切る。休日はサウナに行き、汗を流す。汗を流した分だけ水を飲む…

はずれくじ

はずれくじが多いと気がついたのは、13歳くらいの頃だったか。やりたくないことだらけの人生のなかでも、特に引き当てたくないくじを、常に引いてしまうのが性であった。 とはいえ、他からみればそれは栄光にも映るだろうし、やりたくないことばかりやり続…

エンタイトルツーベース

そういうヒットが打ちたい。スタンドイン。

安堵した魂が

安堵した魂が、手元の電子端末に吸い込まれて行く様に、彼の気持ちは晴れやかであった。 晴れやかな事は何もない。明け透けな、見栄や怠惰な感情を一身に浴びて、本来であれば怒りに打ち震え自動で心肺機能が停止しそうになる程の仕打ちにあっているはずで…

数多の傷口

数多くの傷口が、重なれば重なるほど、致死への確率は高まるわけで、今日も擦り傷をこさえながら、唇を喰い縛りどうにか生きていて、過去の自分に訣別するわけでも、肯定するわけでもなく、日々の流れに身を任せています。 少しずつ擦り減った分だけ、ポイ…

冷たい地下室

実家の食卓のある部屋の床に、地下室があります。私たち家族はそれを室(むろ)と読んでいました。中に入った事は無いのですが、ある季節になると、祖母がゴソゴソと漬物バケツを取り出し、風呂場で洗ってから、糠や、魚を一緒に入れて、その地下室に入れてい…

しっかりと

胸を張って生きていると背筋が疲れます。少なくとも猫背は治るのだろうけれども。

めまいと動悸

それと頭痛が激しく。

そんなに急ぐ必要はなく

そんなに急ぐ必要はなく、むしろゆっくりと歩いて階段を降りるべきであったにも関わらず、今日も列の中の誰かが小走りとなり、電車の到着する音がみな聞こえたような気になり、一団は一気に早足、もしくは駆け足となる。 そう言う場合においては常に、反対…

八時くらいの朝日

八時くらいの朝日が一番まぶしい。 今朝は早起きをしてみた。風は最近生ぬるい。小学生の群れが元気良く跳ねながら登校をしている。曲がり角を曲がれば、校門の前で先生が立っているはずだ。最近はずっと寝坊気味だったので、このさわやかな場面に出くわし…

雨の日に

雨の日に、あっ、あれはあの時の嫌な上司なのではと、うつむき、絵空事のような気がしていて、主にこのタイミングではシャレにならない出来事になってしまうような気がしている。 春らしさを通り越して季節は蒸し暑くなりつつある。春先は寒かった。桜も凍…

本を読むことは

常々日々の日課であったのだけれども、このところの仕事のボリュームといえば、どうしようもなく降り続ける雪のようにとめどなく、関東風にいえば六月の連続した雨の日のような感覚ではあるのだけれども、それはそれとして、やはり終わらない。終わらないこ…

何も楽しいことはないのだけれども

気温が上がれば上がるほど、体が動きだし、何事も良いような気がしてしまうのであった。腕時計を外すべき季節。

進まないカウント

毎朝、起きるとアプリを起動して、運動を始めるのだが、そうした習慣を二年近く続けている。 アプリは三十秒間単調な信号音で一秒ごとにカウントを刻む。無機質な音が朝の室内に響いて、消し忘れた目覚まし時計よりも虚しく聞こえる。虚しいのは、そうした…

電光掲示板

その電光掲示板には、本来であれば野球のスコアが表示されるべきであるのだが、ワンアウト一、二塁のタイミングで代打が出た瞬間から、画面が真っ暗になったままである。 球場でビールを飲んで、七回裏、外野席ライトスタンドにて次の一杯をどうすべきか悩…

過多

肩がかたかた、疲れ方。残念。

希薄

全てが希薄であった。空気も、人間関係も密度も、充実感も。気迫の無い希薄な生活を送りながら、今日も空気の薄い電車に揺られ、過ごしている。朝はそんなに早くはない。恵まれていると言えば、恵まれているのだ。そんなに不幸な事ではない。不幸か幸福か、…