『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

霞んで消える

    夢を全く見ない時期がある。そうなると僕の物語は枯渇し、どんなに蛇口を捻ったところで断水の日に水は飲めない様に、何も前に進まなくなることがよくある。
   どちらかと言えば、普段は夢の記憶を鮮明に残していない方だ。夢を見たのではないか、という感触だけが残って朝目覚めることもある。
   他にもやはり、本を読んでいない分だけ文章は陳腐となる。煮ても焼いても不味い状況が続く。実際の質量を伴った感触が全く感じられなくなる。
   なぜ哲学の本をもう少し読まなかったのだろうか。それは、それらを読んでいた人達のようになりたくなかったからに過ぎないのかも知れず、今日も電車の窓の外の風景は過ぎて行く。