『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

鳥取にて1

    米子の駅に着いたのは、深夜バスに揺られて翌朝のことだった。新宿を出てから、十八時間は過ぎているのか、時間の感覚は、寸断される眠りと、一時間おきにとまるサービスエリアでの冷たい夜気とで、すでにわからなくなっていた。
    私は、この何もない日々をどの様に過ごすかと考えてはみたものの、とくにあてもなく、金もなく、外国にでもと思わないでもないものの、そんな手配も出来るわけがなく、日本で一番今後行くことがなさそうなこの地に来ることを、選択したのだった。
    本当は、経済的な意味合いが強いかもしれず、何故なら、往復で二万円もかからず、それだけでどこかに出かけた気分になるならば、というところでもあった。
    これが、インドや、タイだとか、アユタヤ、ミャンマー、サハラのような格好のつく場所ならまだしも、今降り立ったのは、小雨気味の米子駅だった。しかも帰りのチケットも抑えている。もっとも、砂丘は存在している。
    さっそく、街並みを確認するために私は、周辺をふらふらと歩き始めた、が、それもすぐに終わりが見えた。
    牛丼屋に、大きな駐車場が設けられていて、多くの人が着座できるように広めの席が設けられている。
    続く。