『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ライム

なぜビールにライムが入っているのかと問われれば、それは少し酸っぱい思いをした方が良いからだと答えたら、どうなるかね。今日はここまで。

短文

怒りが喉の奥からこみ上げて、吐き気として具体化するも、なかなかつかえて吐き出されない。今日はこの辺で。

降りしきる雨の中で

降りしきる雨の中で、三十八年分の冷たさを感じながら立ち尽くしている。立ち尽くしているというのも、まさしく妥当な表現と言えて、膝も腰もボロボロの状態だった。 三十八年、言葉にすれば四文字程度の(アラビア数字で書けば三文字)短い言葉ではあるもの…

銃弾

どうも坂の多い道に迷い込んでしまったようだし、今回が私自身の出来事というわけでもなさそうで、いつものように俯瞰した映像が流れていて、すでに夜、肌寒くなりつつある。 与えられたミッションは、誰かを暗殺しなければならないものの様だが、その相手…

ゆかすべり

波への乗り方を教えてやるよ、とその男は言うや否や、足を広げて床をついーとすべり始める。床の材質は灰色のざらざらとしたカーペットで、滑ろうと思えば確かに滑れなくは無いのだけれども、それにしても本当に波に乗っているように床を滑っている。 僕は…

五叉路

渋谷に行く前にトイレに寄ろうと、公衆便所に入ると、水が溢れている。床じゅう水浸しで、それ以上中に入る気がしないので、そのまま諦めて、電車に乗ることにする。 電車の中は閑散としていて、休日の夕方とは決して思えない。今日も風が強い。電車にゆら…

要求はいつの日も

あなたの弱点はあたしに気があることねーと言いながらもその目は何処か斜めを見ていて自分的にはそれが右斜め上なのか左斜め上なのか咄嗟に判断し兼ねているとやはり隙をついてそろそろ出ましょうかと先手を打たれる喫茶店での出来事は幾つかの一人で桜を眺…

バイク、風を切る

広く、どこまでも直線的な緑色の地平線に対して、青空が緞帳のようにぴったりとその境目を強調しており、雲一つない晴天の中にいる。 何処かの河原か、土手にいて、灰色のアスファルトがまっすぐと伸びていて、道路沿いにプレハブ小屋がいくつか建っている…

乾いた春

風が強いのが、窓のにぶつかる風圧の音で察することが出来るのだが、早く家を出なくては間に合わないタイミングにもはやなりつつある。 取り急ぎ、風呂に入り濡れたままの髪で、タバコを一本吸って気持ちを落ち着かせる。髪をドライヤーで乾かそうとすると…

花が咲く

地面のあちこちに生えた、消火栓のような形をした鉄の塊の、そこかしこから色とりどりの花が咲く。橙色、紫、赤、青、種々の、雑多な色の花だ。所々の花弁の隙間から、緑の茎や葉が覗く。その緑は、根を下ろす鉄自体の赤錆た色と混ざり合ってモザイク画とな…

外の雨の

夜中に、寝付けないでいると外から雨が窓にこつこつとあたる音が聞こえてくる。控えめな降りかたをしているので、蛇口をしめ忘れて流し台に落ちる雫のような音はせず、ビニール袋か何かがかさかさと微かな音を立てる程度の間隔で音が聞こえてくる。 昨晩も…

白い壁の部屋

白い壁の部屋、と言いつつも、正確には明るい灰色、つまりライトグレーといった色合いの壁に囲まれた空間に案内をされる。 三人組で訪れたはずなのだが、一緒にいた先輩のみ、別の部屋に通されたようでもう一人の先輩と向かい合って座る事になりそうだ。席…

パーティー会場にて

パーティー会場に通されると、見知った顔が何人かいる事に気がつく。クリーム色のテーブルクロスの上に銀色の皿が並べられており、高い天井から差し込む太陽の光が淵に反射して眩しい。皿の上には、サンドイッチ、フライドポテト、唐揚げ、ローストビーフな…

不要な反復

そろそろコートは不要かと思いながらも、マフラーだけは持って外に出たわけだが、思いのほか風が強く、やはりまだ春には程遠いのだなと感じる季節の独特な空気感と、街行く人々の服装も厳重に防寒している人とそうでない人の差がまばらで、皆天候を図り兼ね…

断片

誠実さ、とは何なのか。それに対する疑いは尽きず、使い古された名言だけが頭の中を駆け巡る。今日はこのぐらいで。

階段を降りる時にふと

階段を駆け降りる時に、ふと宙に浮いたような錯覚を覚える事がある。昨晩酒を飲んでその二日酔いがあるだとか、そういう背景を抜きにしてだ。 そういう日は、往々にしてジャケットを着てみると肩幅だとか袖の長さだとかが、合わないような気がするのだ。毎…

暑さと我慢

鈍いタイプの腹痛が、繰り返している。水分の不足と、いつに起因するのかわからない筋肉痛が、身体中を走る。 これまでの腹痛が、空腹を伴うような錯覚を得る。朝から何も食べてはいない。朝食の代わりに、牛乳を飲んで来るべきかとも思ったが、今ではそれ…

写真の構図に関する断片

その写真に斜めに写る人物は、知り合いであり、写真の素材や質感が全く感じられず、どうにも浮世絵然としていて、現実に存在する人物とは言い難かった。大体が、写真の質感がなくなったと感じられるようになったのは、いつからだったのだろうか。私が知覚し…

塵と埃

床に頃がった独白と、タバコの灰を、そのうち掃除しなければと思うのですが、既に二週間が経ちました。 早いものですね。椅子にカーディガンを掛けたり、さみしさがなり始めたりするわけではないのですが、一抹の空白のようなものが、部屋のどこかしらに漂…

銀色のボールペン

ボールペンで文字を書き始めると、銀色の血が流れるように、紙の上にうっすらと湿り気が帯び始め、やがて紙が置いてあるテーブルの端にまで到達し、床にこぼれ落ち、そこが源流となって、大きな河が流れ始める。 我々はその河の源流を辿る旅に出る事を命題…