『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

希薄

    全てが希薄であった。空気も、人間関係も密度も、充実感も。気迫の無い希薄な生活を送りながら、今日も空気の薄い電車に揺られ、過ごしている。朝はそんなに早くはない。恵まれていると言えば、恵まれているのだ。そんなに不幸な事ではない。不幸か幸福か、相対的な価値観に左右されて、電車の中で揺さぶりをかけられて、終着駅にたどり着かない程度に路線を乗り換えて、今に至っている。少し暑い。
   客体が存在しない、他者との比較のみに焦点をあてて過ごしていると薄い薄い自分が出来上がる。もっと他者に目を向けなくてはと思うのだけれども、そこの所はまだまだ、修行が足りない。