『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

電光掲示板

    その電光掲示板には、本来であれば野球のスコアが表示されるべきであるのだが、ワンアウト一、二塁のタイミングで代打が出た瞬間から、画面が真っ暗になったままである。
  球場でビールを飲んで、七回裏、外野席ライトスタンドにて次の一杯をどうすべきか悩んでいた自分としては、詳細なスコアが知りたくはあったのだけれども、電光掲示板が真っ暗なのでは仕方が無い。そもそも、生で野球観戦に行っているのだから、なぜわざわざテレビで見る事のできるような画面を、見なければならないのか、という疑問は常々持ってはいたのだけれども、いざ画面が真っ黒になって、映らなくなった途端に、何故か侘しい気持ちになってしまったということは、常日頃から不要と感じていても、必要な事柄はあるのだなと、改めて感じてしまう。
    球場は、休日だというのに、流石に外野席はほぼ満席ではあるものの、内野席には空席がかなり目立ち、青いベンチの色が禿山の木々の隙間から見える赤土のように見えて、これもまた侘しい気持ちにさせる。とはいえ、場面は同点でこの一打で試合が決まるか決まらないかの一大事ではあるため、相応の盛り上がりは見せている。

   ビール、飲もうかなと思った瞬間、打球が上がり、本塁打になる。