『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

辿る

    記憶の、すでに彼方にある、二日前に見た夢の事を思い出そうとしている。辿っている。辿るからには、手掛かりとなる伝手が有るべきなのだけれども、その夢の断片すら思い出すことが出来ない。
   何処かの扉を開けた記憶があり、意外な人物が登場していた気がするが、その人物が、僕自身の中で、意外であったということ以外に手掛かりはない。
    空港のような無機質な場所であった可能性が高い。辿れども、鮮明な図として、頭の中に浮かばない。浮かばないのだけれども、事実として記憶されてしまっている。
    なぜ、地下鉄やその他の駅に比べて、空港はあれほど無機質な感じがするのであろうか。経年経過によるほころびがないからであろうか。駅には、雨水によるシミやタイルのひび割れが、惜しげも無く晒されている。空港は不安感を与えないためであろうか。信頼があれば、多少のほころびは許されるということか。