『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

夏の気温の記憶

   内勤が続くと、夏の昼下がりの、アスファルトの温まり切った、熱風しかないビルの隙間の、すべての体力を奪う、うだるような気温の記憶が、薄れていってしまう。
   雪国に住んでいなければ、雪かきの記憶が薄れていくように、夏の外気の記憶もなくなっていく。ふと、外に出る事があると、ここまで暑かったのかと、自分の肌で感じる温度を疑ってしまう。それどころか、肌にしみ出す汗の感覚だとか、その後のズボンと腰の境目の濡れた感触だとか、そういった諸々のものが、わからなくなってしまう。
   クーラーに冷やされて頭痛がする、反対の感触が、わからないように。