2013-07-02 走る 通勤時30分小説 走ることへの意識は昔からあった。肋骨から脇腹から流れる痛みと、腹筋の躍動を微細に感じながら走り抜ける。風を切るほどの速度ではないものの、風景は素早く流れ、自分では思っている以上に日々が移り変わる。風景との距離は遠く、かといって自分自身にのめり込まない程度を保つことが出来る。流れて行く景色と共に多くの事を考える。高低差の事を特に考える。坂の上に立って遠くのビルの明かりを眺める。 あのビルと自分との間に、何が横たわるのか。距離感と、虚無感。 今日も走る。