場面の想像力
どうしてもアイディアが何も生まれず、頭を抱えたまま数時間が過ぎている。すでに終業時間が過ぎてから多くの人は帰宅してしまい、フロアを見渡す限り数人しか確認することが出来ない。
エアコンが停止しており、汗だくになることはないにせよ、肌の表面が湿り、シャツとの隙間を無くす。
企画書は一向に進む気配が無かった。進めているのは自分なのだから、当然と言えば当然なのだけれども、この仕事は本来自分が行うべき仕事ではないと言うところに根が生え、どうしても進めたくないのであった。
甘いものが飲みたいと思う。
マックシェイクのような、液体とも固体ともつかない飲み物が、冷たいまま、喉を通る事を想像して、一人唾を飲み込んだ。
場面の想像力が欠如している。
企画書は何も手につかないまま、放りさられるのだろう。