『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

嵐が過ぎて

    嵐が過ぎたものの、天気の良さに多少の高揚感はあるとはいえ、たくさん買い物をしたからと言って、すっきりするわけではないのと同様に、万事が全て丸く収まる、と言うわけにはいかないのであった。

   どうも自分は、他人の夢に出演する傾向が高いようで、その際には、決まって今現前の自分よりも、格好が良かった、と言われるわけであるが、それがどうも解せない。夢の中なのだから、多少は美化されていても問題ないのだが、そのことを自分自身で確認出来ないことに問題がある。つまり、それを自分に言われたところで、どのように対処すべきか言葉が見当たらないということが、言いたいのである。

    そんなことなら、自分だって出演したくてしているわけでもないし、目前にいるお前は格好悪いと言われているに違いないので、自分で確認出来ない自分の存在を知ったところで、どうにもすることが出来ないわけである。

    そうこうしているうちに、今日の主役が会場入りすると言うので、列を作って出迎える準備をする。結婚披露宴の二次会である。

    すると、列を割って、かなり泥酔した後輩が現れて、何やら挙動が不信である。手にビール瓶を持っている。まさかな、と思った瞬間、ドアが開き主役が入場する、後輩がビール瓶を振る、指で瓶の口を抑えてはいるが、それを離せば炭酸が噴き出すことは誰が見ても明らか、主役まで後数メートル、咄嗟に自分が抑えに入り、すんでのところでビールは主役にかからず済む、ビール掛けは野球選手がやれば良い、自分は野球選手ではないが、抑えた手前いくらか酒を浴びてしまう。

    これではまた、夢の中だけ、活躍することになるのだろうな、と思い、会場を酔っ払った後輩を連れて、後にする。クリーニング代もこれでは、請求できないだろう。