幸せの
幸せの、頂点を見た後に、肉と酒をたらふく平らげてから、その、どちらが良かったのかと問われると、それでも、昼間に見た、あの光景が目から離れずにいる。
子を抱きながら、互いに気遣いをしあうその夫婦は、もちろん太陽の陽の光のせいもあって、輝いて見えた事に間違いはなく、律儀に祝いをくれる人たちが、何よりも場違いにすら感じてしまい、その事が一層罪悪感を煽り、躊躇を生むのだけれども、その場にいる男たちは、常に、若干の後悔の薄氷を踏んでいて、いつ、暗闇の轍に足を取られるかも知れず、人しれず、酒を煽るなどしているのかも知れず、思いは馳せられず、誰が母親になるのか、という、安直な答えを探しながら、遅ればせながら、ちょっとずつ後ずさりをして、その後ろにも断崖絶壁が広がっているようで、乗り換えるスペースもなく、一生、この路線で生きていかねばならないレーンに入った事を、感じざるを得ない。