『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

流れ

    日曜日だというのに、特に予定もなく、時間だけがすぅーっと流れていた。少し会社に出社して、それからちょっと歩いて帰ろうと思ったら、雨が降りはじめたので、直ぐに地下に潜って、そのまま地下鉄に乗り込む。地下鉄には、夏を満喫しているようなふたり連れの男女や、夫婦、子どもを連れた家族がひしめいていて、やはり、どこかに立ち寄って行けばよかったかと、少し迷わないでもなかったが、そのまま最寄り駅まで乗ってしまって、立ち飲み屋にでも寄ろうと思っていた。一人で酒を飲む居心地の悪さはあったものの、いまこの電車の中よりはましだろうと、想像する。
   最寄りの駅前にはラーメン屋が三軒と、立ち飲み屋と、バーがいくつかあった。それらは朴訥な雰囲気を多少は内包していて、高い金を払わずとも、多少の時間を潰せるような気がしていた。店内では、髪の長い、南米風のパーマをかけた、少し声のかすれた店長と、科目そうな店員が頭にタオルを巻いて、諸々の準備をしていた。店には誰もおらず、入るのが少しためらわれたけれども、選り好みするにも選択肢が他にはなく、仕方がなく店へとはいる。
   やはり、居心地は良くなかった。どこにいけば、居心地の良い場所はあるのだろうか。