『季刊 枯片吟』公式ブログ ~先天的失言者~

文学フリマに出展している『季刊 枯片吟』のブログになります。

細かい恨み

    日々の、細かい恨みに対する募る思いというものは、なんら正しく作用することなく、自らの拡散という形にしか、当てはめられることもなく、ただただ、無意味で空虚な時間を、生み出して行く。
   生み出して行くといってもそれは、生産的なものではなく、汚物が身体中に満ち満ちて、張り裂けそうな臨界点を生じさせるだけで、そこから青黒い赤ん坊が這い出してくるようにして、校庭の隅の、何故か湿った空間を作り出すだけ。
   誰に宛てられたわけでもない文章を、唐突に受け取る事になった私は、この文章こそ私の書いたものではないのかと、疑い始める。
   過去、そうした文章を書いたことがない訳ではなく、古臭い、少し誇りの匂いのする、便箋を取り出して、夜も老けた中で、インクの切れかけたボールペンを取り出して、ひたひたと書き連ねていたような記憶も、すでにそこに存在しており、とはいえ、書き出すことに全ての意味を、当時の私は見出していて、夢中になって、恨み言を書き連ねている。
   その夢中の感覚が、今大海原を一巡りして流れついたように、眼前に現れ、指先や、太ももの付け根の、当時のその文章を書いていた身体感覚と共に、全てが蘇る。
   そうした、着地点のない繰り言の結果は、感覚として私に帰ってくるのだと、気がついた頃には、もう遅く、後悔以前の問題として、私に重くのしかかる。
   のしかかるのであれば、その重さに耐えるだけ。
   ただ、その繰り言はそっと、肩に手をかけるだけで、それ以上私を責めようとはしない。
   責められるのならば、その方がいっそ楽であり、私は、これ以上文章を読み進める事を、やめる。