体育座り
体育座りをしながら、部屋の真ん中に座りつつ、何時間が過ぎたかわからない。部屋の中には熱気がこもり、肌のあらゆる毛穴から汗が吹き出している。膝の裏から、玉の汗が滴って床に落ち、尻のあたりがぐっしょりと濡れているのが感じられた。携帯電話のアラームが、十分以上前から、ひっきりなしになり続けている。たぶん、電池が切れるまでなり続けるのだろう。手を伸ばして止められない距離ではなかったが、そういった気力すら、すでに持ち合わせていなかった。携帯電話よりも先に、電池が切れてしまった。
そもそも、あんな約束をした事が、ボタンの掛け違えのはじまりで、つまりはじめから後戻り出来ない事になるのは薄々感づいていた。けれども、賭けはそういう気分や精神状況の時ほど、大きな手を打ってしまうもので、常に後ろ向きになって振り返った時の、あの時ああしていれば良かっただとか、そういう安直な後ろめたいものとして、ループ再生をされる。
記憶の、特に悪い事柄については、そういうものなのです。